宇和島城
宇和島城は愛媛県宇和島市にある城跡だ。
愛媛県はふたつも現存天守が存在する、城マニアに優しい県だ。
みかんだけじゃない、それが愛媛県。
宇和島城は梯郭式の平山城。
梯郭式は本丸の四方を守れないので、最低1面は崖やら海やら川やら自然の要害に守られている必要性が出てくる。
現在の宇和島城は住宅街の中にポツンと小高い丘があり、その中に城の遺構が残っているという感じなのだが、どうやら昔は違った景色が広がっていたらしい。
現在のJR宇和島駅少し手前くらいまで、海だったというのだ。
今では道路になっている元の濠は海水が流れ込む、そんな典型的な水城だったという。
本丸はそんな元海だった側にあり、背後を海に守られ梯郭式の城にもなるな。
今も本丸から宇和海を一望できるが、今よりももっと近くまで迫っていたということなんですな。
天守からの眺めは最高だったことだろう。
縄張りは築城の名手である藤堂高虎が行ったらしく、とても奇抜なデザインになっている。
郭が不等辺五角形になっていて、遠目から見ると四角形に見え、実際より手狭に見えるようになっているというのだ。
お化け煙突的な効果だろうか?
今となっては、建物があるので遠目から郭を見ることができないのが、残念でならない。
宇和島伊達家
宇和島藩を治めていたのは宇和島伊達家。
独眼竜でお馴染みの伊達政宗の長男が初代藩主になって作られた藩なのだ。
それなので、宇和島城にはいたるところに、竹に雀の紋をかかげられている。
まるで仙台に来た気分!
血の繋がりはあるが、仙台伊達家と宇和島伊達家は交流はまったくなかったそうだ。
それでも、同じ竹に雀の紋を代表紋として使うあたりに、伊達な気配を感じた。
ちなみに、仙台伊達家の代表紋の仙台笹と宇和島伊達家の代表紋の宇和島笹は同じ竹に雀の紋でも細かいところでデザインが違うそうだ。
宇和島伊達家の向かい合う雀は、片方が口を開き、片方が口を閉じている。
つまり、阿吽。
狛犬のよう雀が描かれてるのだそうだ。
ちなみに、吉田笹は宇和島藩の支藩伊予吉田藩の吉田伊達家の代表紋だそうだ。
宇和島城天守
宇和島城天守は独立式層塔型3重3階の天守。
そして、なにより、現存天守。
宇和島城天守は何より中がオモシロい。
現存天守で唯一の障子戸がある天守なのだ。
そして、畳を敷いていた跡がのこっている。
今の天守は2代目の天守で、江戸時代中期に建て替えられたものだ。
江戸中期頃に建てられた天守は、どれも中がスッキリした作りになっているのが特徴で、畳を敷いたり、障子戸を設置したりというのは、安土桃山から江戸初期にかけての意匠なのだそうだ。
あえてのレトロ感。
やはり、伊達は伊達なのだなぁ。
関連写真
まとめ
古地図とにらめっこすることでわかる真実というのもある。
都市化と共にいくつもの濠が埋め立てられて、土塁は崩され、三の丸や二の丸には学校が建てられた。
曲輪の面影すら残していない城跡なんてごまんとある。
そんな中で、濠や海は埋め立てられても、天守は残り続けている宇和島城は、伊達じゃないなと思うのでありました。
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